FC2ブログ

ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

あまねい

 
 
【あまねい】
 
 
副詞しかのこらなかったはかなさ
あまねくなどがそれで
い、でおわる詞にかわらなかった
 
あまねい、とひそかにつぶやく
きれいなひとへおぼえてみる
そのものがふるえるだろう
あふれるいずみのようすすら
さらなる形容詞にしてみたいが
 
ことばはひびきをゆるしても
とくていがこわれるのをきらう
 
はでに橋上でさかだちをして
橋をもちあげているとうそぶく者
けれど川はどうなったのだ
つながらないまぢかのへだたりは
 
かなしいとだから書いただけだ
あまねいとはしるせなかった
かなしいとだから換喩しただけだ
 
 

スポンサーサイト



2019年10月02日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

白道

 
 
【白道】
 
 
あきがふかまりゆくと
みちがくきやかにみえた
 
おおきなことだった
だれもすみかをうったえず
おうらいがあるだけの
かぎりないながさが
さきざきへきえるのだから
 
中途が中途でありきるために
さきざきも白道とよばれた
 
おとこえしが
のりめんにゆれこぼれ
ほそめではゆげのようで
れいかいのあみめをおぼえ
 
おのがじしさみしくあれ
つよきをはずかしめるべく
よわきがつかわされた
 
 

2019年09月30日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

はなれごま

 
 
【はなれごま】
 
 
ひかる天心より馬が抛られ
ゆっくり墜ちてゆくのを
はるか見ながしていた
 
やさしみゆえか光線ゆえか
なみあしでまわるそれは
青鹿毛から葦毛にてんじて
地平へと吸われていった
 
はがれおちたのだ
ああ秋の箔はあまたすべり
 
はまきのけむりのかなた
一頭のなかで牝と牡が
めまいしてきえあったのを
 
きりもみを吸っていたと
あなたにもかたったところだ
 
 

2019年09月25日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

秋の箔

 
 
【秋の箔】
 
 
てのひらのやわらかさは
からだではつねでないのに
そのうえにくずれやすい
ぶどうがのることもあった
 
くぼみがささえているはずが
てのひらは湖面のように
もじどおりたいらになろうとし
 
みずにうかぶものまで招ぎよせる
 
手から水、箔へと
けいらくがつめたくふかまって
てわたしはあきらめられる
 
あるけば手から水もこぼれるが
おもいながらむこうをよぎる
箔のわたしはそれでも
くだものごとやわらかい
 
みずからをのせているのか
ぶどうが秋の箔にかわる
 
 

2019年09月24日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

小唄

 
 
【小唄】
 
 
かおにぬれぎぬをかぶせられ
天をあおいで果てた者と
 
ぶどうの種でのどをふさがれ
恋の小唄をたちきられた
あなくれおんはそっくりだ
 
ずがいこつへのとどこおりは
とおき世をはためかせる
いきながらこわれものとなり
好色ばかりさかずきにして
 
ぬのいちまい、たねひとつでしぬ
けむりふうのあっけなさは
いまも小唄を生きることにある
 
まばたきをしてもやみをみず
残像ばかりかんじているが
それさえ稠密責めではないか
きせつめぐりのひとみへの
 
 

2019年09月16日 日記 トラックバック(0) コメント(0)