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ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

くらやみの包帯

 
 
【くらやみの包帯】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

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2010年07月30日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

あんま

 
 
【あんま】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月30日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

お化け煙突の二十行

 
 
【お化け煙突の二十行】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月29日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

両手のためのオード

 
 
【両手のためのオード】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月29日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

『手の本』から抜き出した章題

 
 
【『手の本』から抜き出した章題】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
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成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月28日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

内観について

 
 
【内観について】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
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「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月28日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

日本性愛の二十行

 
 
【日本性愛の二十行】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
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「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月27日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

あやかしを占う二十章

 
 
【あやかしを占う二十章】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
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成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月26日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

内容目録・全二十章(送付用)

 
 
【内容目録・全二十章(送付用)】


※掲出題の二十行詩篇を載せていましたが
ネット詩誌「四囲」第二号転載に向け
重複をきらい削除しました。
「四囲」第二号のネットアップについては
成り次第、またお報せいたします
 
 

2010年07月23日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

愛の真夜中

 
 
【愛の真夜中】


稲から立ちあがり
夜空の背丈になった巨人が
気胸にもだえながら
むなしく妻を呼ぶ
とうぜん応えもなく
呼びは呼びじたいに収まるだけだ
むしろそこにあらわれる
音と光の深甚な分離が
階段状にみえる天界とともに
欲望のかたちを表していて
かすかな電撃となり
地上の植生へ普及してゆく
ぜんたいが髪だとして
神なるもの
これもまた分離なのだった
なんとなれば
劣性の白さるすべりは
こまかな花をちらすけれども
赤いさるすべりは
雨のよろこびに全身をゆらし
いちようの夜が
激性によってわかれることを
きらきら肯っている
はじまりの
あらゆるものが視える
 
 

2010年07月23日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

昼顔

 
 
【昼顔】


うすいすきまが好きなので
夏のねどこに入ってゆく
あふればなに身をみたされる
封筒のぶんめんのねむり
ねているまに洗われるんだろ
うすい人型にやがてなって
なみおとのなかをただよえば
おきたころには蔓かもしれない
なつの天座にけんいんされて
しょうらいがながれてゆく
鉢のふたいろをお便りします
シンクロするきみの寝顔に
ないメハナのあわいねがおに
 
 

2010年07月21日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

翅の国

 
 
【翅の国】


盛夏がはじまると
すべてが翅の国になる
蜻蛉や蝶にならって
背中を漂わす人があふれ
市場は蜜なんかを
くらく商っていたりする
地球の回転ノイズ
因果がとうめいなら
橋が風景の中心になり
合流の場所も
それじたい空から見た羽虫だ
物見するみんなが乗れば
落橋事故で
夕ぐれがご破算になる
しかれども
あぶらみたいに平らだなあ
おもう空は何階、
翅だけが浮かぶだろう
 
 

2010年07月16日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

象牙

 
 
【象牙】


大雨がふって、と書き、
「おおあめ」ともひらくと
あめふらしのばけものがみえて
すこしどきどきした。
それでも大雨がふったので、
川というか川筋がなくなったと
期待しては大葦原にゆくと
拾い物を得るには良い日和だったのに
多くの葦がみるからに怒っていて、
象牙にかこまれたなと感じた。
(墓場なのでやはり川はみえない、
(海の満ち潮で逆流になったそれが
川の範疇を超えたという意味で。
あんなところに灯台が、と気づき
遠望がまったく傷だらけになる。
帽子を目深にした。
あるく脚をふやすと
かなしみも河口段階に入った。
すなおに沖を眺めるだろう、
雨上がりの、ひかりの圧倒を。
そこにも象牙。
ぜつぼうはなんという陸地だ。
 
 

2010年07月15日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

演習秀歌選(七月六日、十三日分)

 
 
立教前期の僕の授業が
とうとう終わった。
いよいよ夏休み。
マンガ講義の大量のレポート採点以外は
ほぼ能天気な夏を過ごすことになるだろう。

したがって短歌演習もとうとうおしまい。
受講生が次々にブレイクして
(たとえば今回なら中島太郎)、
僕には愉しい授業だった。

成功の秘訣は題詠主義をとらず、
モチベーション主義をとったこと。
それと、先に口語短歌をフィーチャーして
作歌のハードルを低くしたこと。

けれども文語短歌のうつくしさに向け
徐々に覚醒をみちびき、
たとえば久保さんなどは
それで作歌がいま膠着している
(これは実は良いことなのだ)。

期末提出物はずばり「歌集」。
僕が印をつけたものに新作・直し作をくわえ
総計50首を目処に
自らの編集意識を貫く歌集をつくって、
というかなり難度の高い期末課題となった。
むろん、それは受講生の成長が目覚しかったからだ。

これは三年次演習なので
彼らは来年は卒業制作に入る。
引き続き短歌(歌集)をつくるなら
来年、卒制で面倒みてもいいよといっておいた。
望月裕二郎の歌業を引き継ぐ恰好だ。
もう二人が「お願いします」といっている。
もう少しふえるかもしれない。

いっそのこと、小池さんや望月くんとかも巻き込んで
「立教短歌会」でもでっちあげちゃおうか(笑)

では六日、十三日の秀歌を----



●福島 遥

ほんとうのことを伝える練習をだまって聞いてくれるやさいたち


いけすの魚にがしてまわる どさくさにまぎれて君も私も海へ


たいように睡眠薬をうって 今、見たこともない顔をする君


システムをこわしていって最後にはハダカンボウのわたしを撫でて


いつだって既視感だけで生きていてまるで世界はひとつの映画


まんなかが空洞である二十年生きていてもまだ空洞である


一篇の詩歌になっていくからだ君がわたしにすっとさしこむ


さっきより音色が高くなっているあなたの弦をそっとつま弾く


やさしさを運んでくれたみずいろの風にはだいろお返事として


いっこうに昼間である日 家猫になってもねむりに墜ちないのです


どうしてもつくれない色あけがたの空からもらうバケツをかかげ


さよならがいえない君はいつまでもひらひらと夜に舞うモンシロチョウ


おやすみとおやすみの間のしずかなる呼吸のように香る茉莉花



●山本晴佳

おあずけの「三日待って」は えあばっくみたいなものです。「事故はこわいです」  

    
土曜日に「キティじゃなくてミニーだから」といいわけをして食べられてやった


よくぼうを見つからぬようおむれつにつつんでつつんできみに食べさせる


くれよんで、使ったちり紙に虹を描き、きょうという日を鮮明にした


「しあわせもひゃっかいめには苦くなる」一〇一回目できみに言うつもり

  
オルゴールの針ちぎって安息日“だれかのわたし”を削ぐこころみ


かたくなにかたわらでわたしかたくなり36.6℃の化石


一枚の布をかぶせて「はい終わり」きみのセックスは死に似ている。    

  
なりたいなぁやさしいからだ。ひよこまんじゅうにちゅっとくちづけ。

  
いつもより大切にしたいひとなのでスカートはあえて長めにしました。


懐かしさ香る電話がありました。きんぴらごぼうにゴマちりばめます。


そのすがた色っぽいよりは透明 朝に生まれた君のむきだし


( し ょ う し つ ) 私せかいにいなかったエスカレーターのる間だけ


とある朝私は疲れて風呂に入りくらげになろうと決めたのでした。


夕飯のたまごどうふのくっしょんが今宵二人を守るはずです。


味噌汁がしょっぱいミスを消すためにどうぞ世界よ滅んで下さい。


できたてのお米をつつむゆげに似た膜にくるまれ幸福なきみ


ろうじんがエピローグとプロローグ入れ替えたのに誰も気づかず



●門司奈大

いまいちど胸のかたちを確かめる甘夏のたねはもう取り出せない


ブックカバーかけるくらいは大切にしたいと思う三日月のひる


くちびるに木綿の糸を巻きつけて君を私の酸素にしたい


暁にひかりをすべて受け止めるパラボラあんてなみたいになって


親指の爪をおととい切ったので君のキリトリ線はそのまま


指先におおきな腫瘍ができましてかえるは跳ぶたび優しくなります


不足したわたしの一部を切り取って黒いのらねこの尻尾に結ぶ


ぼろぼろと拡散していくだけだったイヤホンの位置を正してみても


回転をつけたら向こうへ投げ飛ばすあれはいつかの海洋生物


「開くドアにご注意ください」そちらには明るい何かが詰まっています


愛情の形をいつしか履き違え靴ずれしても脱げないでいる



●坂井 雅

古本の紙やけの跡のグラデーションに宇宙の真理を見出せる朝


風に舞うサランラップの大群を見送ったならカン蹴りしよう


シャーペンの芯のせせらぎききながらねむりとめざめをいったりきたり


CDをききながらアイスを買いに旅立つイギーポップのわたし



●廣野友里恵

指先が茶色い海に沈んでく、軋んで落ちて私目覚める、


会いたくない。絶対に君に会いたくない。ねぇ だからせめて声が聞きたい


ケータイを持つその手つき同じ形でアゴを持つのね



●鈴木寛毅

くもの尾をさがすと言って街にでたさきで お金はらってお風呂につかる。


新宿でやきざかなたちと目があった なるほど、ぼく、そんな目してたのか。


射し込んだ斜光をのぼるほこりたち ふれようとして手をさしのべるきみ


その瞬間とおくのくもがちぎられて、からすがさよならつげた。ないた。


ぼくもまたかれらのようにじき闇にとけいるのだから、はっか飴かむ。


まよなかがおわる電車にとびのって、だれも知らないベッドに行きつく。


あさりさえ僕と目すら合わせない。もうわかったよ。火にかけてやる。


ねこじゃらし、かぜでさらさらゆれてます。はじにいるのはとりあえずのぼくです


かがみさえうつさぬものを好きになり、スケートリンクを抱く水曜


認識のあめあらしのなか僕はよく、うそつきおばけと遊んでいるのです。


まなつ日のきみの昼寝はびしょ濡れの飲み忘れてたコカコーラみたい



●中島太郎

ゆれうごく淡い睡蓮見つめては (ほのおのようね) あなたのようだ


火星にもチンジャオロースがあると知り 踊たくって夕立のなか


水色のわたしがほんとであることをわたしはどうしても気づけない


火星では時計をなくした人々が下北沢に移住のよてい


ニッポンのとりわけ絶頂見るための夜の幽体実行中。。


城壁にレモンイエロー塗りつけてわたしを照らす空しい暴力


わたしたちがスパゲッテイーを食べている その前からあるエジプト文明


野球したときからうっすら感じてた ゆくなら九月のパライゾがいいね


半分が絵本でもあるひとびとが東京駅で始発を待っている。


わたしよりブログにちかいわたくしに 町のでんきを消させてほしい


さよならが空へと昇って行くように 言葉はそれほどかるくあってほしい


カマキリ 気が済むまで泣いてくれ わたしの肩を湖にして


女子大で女子をするきみたちが すなはまにうめた使わないきもち


だれにでも魚であった過去があり うろこのような涙をながす


ぬか漬けにしておこうかともおもったが あえて廊下に立たせた言葉


すこしだけ僕といっしょに止まってみないか 風も車も大海原も


蜃気楼の中まで来てしまったとおもったら きみがひっぱりだしてくれた


太平洋の孤独なクジラの警笛を ベガだけが黙って聞いている


夜の風がすべてを飛ばしたはずなのに言葉だけが道に転がっている


なにもないこの四角い部屋には ただ なにもないということがある



●安藤由貴

目と耳と鼻もついでに持ってって。白い人形に私はなりたい


12時を少し回った風呂上がり産地直送お味はいかが?


あじさいに見守られてる靴擦れに気付かないでとペダルをこいだ


給料日だから今日はコンビニでスパークリングな明日を1つ


新宿の僕の温度を手に残し弱冷房車をえらんでみたけど


コンタクト君から見えないこの場所はステンドグラスの紫みたい


決められた髪型服装、決められたあなたのそばで意味がほしくて


とりあえず何かで私を満たしたい。たまごかけごはん独りを埋めて


キスはなし小さな銀色そっと置き冷たい世界に旅立ちます


右耳のピアスをさわってすごしてる血がでたらいいなと少し思う



●久保真美

わが裡に天よりきたる大火事をしづめむと夏のストーブ抱く


ぎんいろのこいぬをさがす 若草に初夏のひかりの群がるあたり


丘のあり川の流れる手のひらを箱庭としてきみに差しだす


かなしみと夢とうつつの煮こごりをそつとすくひてくちびるに寄す


わが窓の鉄格子にて囚わるる孤月の夜を逃がしてやらむ


身熱のみ われの形を保つもの 蝉鳴く声は遠くなりゆき



●長野怜子

当てつけに聞こえてなんかやらないさ ヘッドフォンをした。無口な君の。


鮮やかにパソコン壊していくきみの衝動じゃなくてほくろに惚れた


石像とたんぱく質は2:1 あとは樫、水入れればわたし


夜も深けて 黒塗りの川に実を沈め 浮かばないことに決断をした


海原にゴマを2粒蒔きました。伸びるあてなどないというのに。


踊るならピントを私に併せてよ。葬式前で顔は青いけど、


ティッシュからいかの匂いがしたんです。「浮気?」「いや、自慰。」「嘘付くなよおい。」


鋏では突き刺せぬものもあるのだとあなたの心臓が教えたのです。



●三村京子

をとめごの狐にかなしき恋はなしあなたをあやめゆくような藍


激しさは感情なんかじゃないらしい。宙(そら)に浮く庭、冥府の家屋


君の顔おもい出せぬも体だけ夜気をよく知るときの口づけ


ありえないとどかないもの恋うること。水晶のドア叩く囚人


下町のひとがやさしくからだから落としてしまったビー玉は何?


照り返す区切られた壁 団地にて夢みたことの見境のなさ


十五分、歯磨きをしてをりました。夜雨の奥にすいよせられて


切り刻むことばはわれに返りくる比較文化の義眼もってる


としょしつの海がみえてるまどをあけ望遠という種をしまった


夜空には銀貨うかんで女らは月さす洞でカオのこうかん


ベッドには藁束がよこたえられて意味のないよういのっています


皿あらうわたしの手から水になる白亜紀ころとおんなじように


傾いてしまった肋とりだしてわたしを食べたあるきだそうと
 
 

2010年07月14日 現代詩 トラックバック(0) コメント(1)

青狩

 
 
【青狩】


この世を黄金に覚ますんだと
湯のなかで湯をともに呑み
同心の分布をかんがえる
のち青狩の者になって
寝所でおんなを折りたたむ
雨だから携行する
傘のようなものが必要で
それがおんなの姿になった
でんきしびれをともにまとうのか
駅までの散策に着物を着る
そんな青狩の者になって
風にゆれる青栗の木で
夜眼の着色をとばす
どんどん青くなってゆく
なにごとも見聞だ
わかさの臭気の打ち寄せる
なぎさみたいな細道で
青狩行は羽虫もつかむが
ぐうぜんのものは
白玉にして返す
詩ハ贈与ダトイフ
くらくなる域がふえてきて
鬼と鬼のつなぎに沿い
ほそくなる茎をかぞえる
なんの歯茎かと問えば
あんぐり、風景の口もみえるだろう
ともに外気を屏風にしているから
あえぎたがっているのは
ほかの背もたれをする精霊だ
背もたれの形にただ暗穴があいて
そこに同心の分布をかんがえる
すいてき、のはげしく散る夜
あらしの駐車場で愛しあう
マダマダ青ヲ狩ラネバ
刃物にぞくするすべてを
もろとも言葉にするということだ
相の傘をさらに藍の傘にすれば
髄までの不死も洗われる
 
 

2010年07月13日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

夜に楡が

 
 
【夜に楡が】


夜桜にたいするように
みんなで夜の楡にむかう
いまどきの楡は
あふれる葉が漆黒で
銀漢を背景に
猛烈にけぶっているだろう
うごいている、
よじっている、身中の蜜から
しずけさになった風が湧く
たくさんの羽虫のまぼろしが
楡が楡になるよう
上昇への吸い上げをする
記憶も過去の現在化に
たえずしくじるので
ひともとの楡は
苛烈にこそ暗いが
情緒的には見上げるみんなの
背丈の総和といえる
あくがれいづるたかさ
天にいたる遮蔽を描くそれは
みあげればみんなを
無魂へと釘打ちにする
空中の星でできたやしろだろう
むろんうごいているので
こぼれるものがあって
それも黒と呼ばれる
 
 

2010年07月10日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

えにしだ

 
 
【えにしだ】


ふさがれてねむる
夏のとびらは
えにしだのなかに
イエスの黄金をとじて
この昼寝をよきものにする
まぶたのしたにある
花のながれをたどって
どこか別の忠誠へと
身をただようのだ
櫓は開かれるしかない
脳幹は梅の実のちいささ
ゆめをみているときに
伴侶も三泊の決めで
百日紅の実家へもどり
おかれたねむりの輪郭が
犬小屋に合うよう
しずかにちぢんでゆく
暑熱であることのけむたさ
髪など自然発火して
めはなを天国にするだろう
それを見るんだ夕風
豆腐を食べんと起床する宵の
椀が返ったような自失を
一顔のさみしい円さとして
 
 

2010年07月09日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

野に置く本

 
 
【野に置く本】


野に置く本には
うすものの用例が書かれ
それが恋句と読まれてしまう
まどろみつつ読む本は
ひるがおを掻きわけ
ひるにひろうしかない
盲目性がすべて読んでいる
いらぬこころがもてあまされる
人心はながれてゆくだろうか
だとすればけっきょくは
はんかち、のようだ
読んだ人どもはすれちがい
花の香がみちてゆく
何ごとかを小脇にかかえ
野をいそぐ人のうらさみしさ
読んだことが唄うことへ
ちいさくすりかわってゆく
けれど記憶はいつも
秤にのらない空白となる
なんにもなくなって
「本のなかで声をあげる」
このとき野は円いのか
もじの茸のすきまに
ひるのほし、いっぱい
 
 

2010年07月07日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)

恐水病のこと

 
 
【恐水病のこと】


あふれるもののはじめを
胸にうけようと
浅瀬を縦に割ってゆく。
墨とかがやく渋谷川、
馬上にてすすめる遡上も
おんなたちのとおった足跡の
おそいあと追いにすぎない。
この表情そのものが
けむり状になっているので
めぐりを吹く風が厄介だ、
年老いて、どんどんなくなりながら
うせるようになおあるとは
花束のようなこういうことか。
分岐が馬と俺の運命なのだ、
だから乗るのもつらい道中だ。
コノ川道ハ何カノ桟橋ダトイウ、
水源説を採ってみれば
おんなたちや水牛の
ときたまかたどる陣に
すでに土地が永遠におもう
円環する川もきざまれている、
そんなわれわれの皺だろう。
疲労のふかまるあたり
暗渠の口がある常套。
しかしそこで水は立った。
水がこちらをみつめた。
 
 

2010年07月02日 現代詩 トラックバック(0) コメント(1)

朝の自画像

 
 
【朝の自画像】


未明は卓上に組む
手のうちらに
まだ来ない曙光の
遠国がともる
一日にかならずある
仄明かりの時には
シャガを摘むおこないが
幻影となる
へだたりの手に向かう
この頭部は
南風の感慨に
つつまれてゆくだろう
手のうちには
ツバメがわたるから
じぶんも島の地の
哀しみのうえ
橋の図をながす
エピファニなのか
人類一切だって
可食性の手前にとどまり
植物を喋ったりするから
可笑しいのだ
らおこーん、
点在そのものの響き
築城のはじまる朝には
のぼり下りを
職人がくりかえすが
じぶんという木材は
点在をする
空中の抽象にすぎない
 
 
 
 

2010年07月01日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)