メモ157
157
とおい切妻の下がゆがんだ過去にみえた
土地の名は妻切、やもめになった男は
舞うむかしをふる雪のありえた接線とし
せまりくるきつねのかおりに打たれた
メモ156
156
まつげが蘂にみえるひとみは
ひかりなきたまをみごもり
はつゆきへみずからよせてゆく
ひきばがなくてそれ以上は
せかいなどちいさくならない
およそ茶飯とはそれだろう
となりからとなりもきこえる
メモ155
155
ひとのかおをおおう雲のかたちに
はじらいと悔いがまざってみえるが
それら感情はリズムといえぬほど
ゆっくりした交替をくりかえし
やがてしずかなひかりもとおって
きれまにかおのあらわれみなを絶つ