舎利
【舎利】
義人たろうとまなざしすると
うすじろく顔がわくどりされて
およそはひとみのものとかわった
すわったとまり木には引き場がなく
ずらしてつみあげる煉瓦のコツを
日の建築というおもいいれでかたり
どちらもなくあいだがさぐられた
詩価をたかめられたことばには
とおく副え木もささえられた
あれがひとのいたす橋のおわり
みつがながれ、てのひらをなかす
飴にもましたこの星があるのだ
めのまえやわらかく舎利をおぼえた
このしたやみをのべるように
まばたきのなかまでもみつめた
疎
【疎】
ありうべき疎密のちがいが
わからなくなったのは
疎に密をおぼえてしまった
あのひとと詩からだろう
おかと丘のかんげきを
それぞれあるく十数人さえ
なかにすきとおってわたしがあり
たれかのみがわりにこそ
わたしはわたしをかぞえられた
ゆくと樹の合掌形がそびえた
かたちはなにごとかをいのって
かたちそのものにかおがみえない
たんすうはいつもよじれ
なべてがふもとよりもたかい
あのあたりから密が疎へくずれて
うすあかりをしるべしたのだ
みずからの目鼻にふれても
まばらをさわっているようだ
蔦
【蔦】
あるかなきかのすじに沿い
ちからがこぼれおちてゆくのを
かかげられたほそい腕にみた
性をあざむく放精のようだ
ぶどうを狩るにはぶどうがなく
さがしてあらがいながらも
べつのかいなのときにつなげ
となりあうことがひろがりだと
わずかばかりをゆらしきった
もえる蔦の深紅ペーストを
そと壁からそぐしごとだった
よつあし時代をのがれでた
おんなのなましろいかたうでは
かなしくもやを、うごきする
ふくらみなくかたちに欠けるが
みえがたいすじであるかぎり
みえがたいものがたりもよせて
さきの手で季節外れをつかみとる
数歩
【数歩】
つづられかたの数歩に
どんな魔法がつかわれているか
しさいにうけとるだけなのだ
再帰が再帰に反射してゆく
詩集をまえにしてあたまがきえ
胴だけのこせとうながされる
ぺえじをめくるくりかえしがきれい
まちのはずれにかいまみた
アプローチととびらをおそれると
庭から入るのにためらいもなく
いつしか二階のまどを額縁に
だれかの顔になっているだろう
しらなさをゆくわたしらにとって
のぼりはいつもいまにすぎなかったが
それがなぜことばなのかわからず
使徒をあかす数歩のみあまくひびいた