白老
【白老】
いつかあのそらをおもいだして
きっとえづいてしまうのなら
あの空もつらく高いのではないか
すべて紡錘ですよといわれるが
横からまく風とはなんだろう
そらではなく鳥の座とよんでみると
しらおいのやまいでしわをおびた
はるか鏡天井まで鶏舎となって
ひとへはいるための割符を
てのひらでささえるそのとき
いっぺん一篇のたわみが重ってゆき
つづきそのものがつづきにかすむ
愁殺
【愁殺】
ゆううつのあった日は
そのようにいわないといけない
せかいのひろがりにふれたのだと
日のうつりかわりをおもいだす
ゆるやかさがすべて愁殺をまねいた
ひとつのばしょでの激変と
まったくちがう自身のおぼえ
かすかな花芽をさがすみずからの
まなこがじつは反世界なのだ
ほんとうは剥離ともしるすべきか
けれどこれこそが二重化で
はがれがうつをきわだててゆく