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ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

曲率

 
 
【曲率】
 
 
すべて曲率を思いにしまうのが
さみしく、ひとの世だった
 
しぐさをみやるさいにも
それはりんかくにゆらめき
こまかくみえかくれして
 
このひと月もぽぷらの絮の
舞いすがたが曲率になりかわり
うすいおもかげをかえした
まがりぐあいがひとかずだった
 
あまたの絮にとばれていた
あらわれるのみで、ああ満たず
みあげればさらにこわかった
 
 

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2022年06月26日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

堂宇

 
 
【堂宇】
 
 
並走するあれら二頭のあいだも
走っているの伝でゆくなら
ぬらそうと掬った手のなかで
みずもそれじたいをぬれている
 
聖なる歌にはこの二原理しかなく
にくたいにのせたすがたさえ
分離がひかりになっているのだ
 
かばんではなく声帯をたずさえて
ひとらは晩の堂宇にやってきて
 
みずやうまがなおあるとうたうと
青葉一面があおい花ばなにみえ
ながめのめぐみへつつまれてゆく
 
 

2022年06月19日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

馭者

 
 
【馭者】
 
 
すすめてゆき、のこりではなく
それまでこそ減ってゆくとおぼえ
浪費にうっとりすることがある
 
ひとへこまかい地名をのせて
ひとをかんがえつくすときなど
 
ぷらたなすほかをかぞえたが
それぞれのかどが固有をつげて
みえることがもうぜいたくだった
 
とふなゆめ、巨鹿路はあふれ
異域にあれば馭者となるだけだ
みずからを駆ってまたうれうのも
そのいまをそれまでにするため
 
 

2022年06月14日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

今紫

 
 
【今紫】
 
 
よるにまぎれ櫂でこぎ
いまむらさきのいる浜へ
おとをたてずにちかづいた
 
たっするまでしずかにが
自戒だったが泣きたくなった
 
くもがわれてぜんしんが
月かげで捕縛されてみると
よせてはかえす波そのものに
きみわるくかわっていて
 
身を推敲して、身がわれた
おこないのさなかおこないも
こむらさきへとけぶりだす
 
 

2022年06月09日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

音点

 
 
【音点】
 
 
どのからだもそのものではない
耳介ですらひびきをあつめるため
そとにあずけられたとおいうつわの
仮初のかたちにすぎないだろう
 
ひもといてみればひとりびとりが
みしらぬうつわにおもえるのは
音点あまたにひかりがおりるから
 
すべて対立ではなくかたむきにみえ
かんがえがものがなしく屈折する
 
劫初のようにもゆれていまして
耳奥にあるくさむらだって
もえあがりそうです、ことばが
 
 

2022年06月03日 日記 トラックバック(0) コメント(0)