短化
【短化】
なすをやいてすりつぶす
しおとオリーヴのあぶらで和え
だしを張っためしにのせる
一日一油、枯れもせず
とおあさをかきこんでいる
くらいおえてまなこがあおむ
やいた網のもようがのこる
やいばはくらしにつかわない
くんでするあぐらのかたち
いぬなみに組むものをみおろす
あしうらにうかぶすりこぎの
短化をめでるおのれがいる
舟舟
【舟舟】
そのまま湯舟を木舟にしたて
てあしのばしてそらをみあげる
おとめもすなるかわくだりは
水図へひのきをわたすことだが
はかなくひびく道道の畳語が
しずかな舟舟になりかわり
この世はおとのもときえてゆく
消滅のそんなばしょにこそ
はだか身ののこることわりを
まなこはどうおさめるのか
ゆをはこぶかなしみもかさねも
あるいは河口までのあだごと
忘失
【忘失】
羽に異なるで、なんで翼なのか
そうおもって詩がうずいた
まえあしふたつのきえかたは
そのものが竜のとまどい
やがては忘失がそらをゆきかう
それでも山色のつばさでなく
くちばしがおのれをはこぶ
もとめる忘失も木の実や虫で
そこへいたるまでがいまだった
つばさはそらをとぶ群れを
ものかげ以外へ隠すべくある
蓑だけがゆれてみえるとおさへ