fc2ブログ

ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

花眼

 
 
【花眼】
 
 
晩年ってよびかけがおもい
みえないものがみえてくると
花眼にのぞみをかけられて
 
からだそのもののまどをみました
ふるやのつたの壁を背にして
かべがからだのかたちにひらき
ひとのむこうがのぞけました
 
なんにもこわいことはない
ひとつあるのはふたつだから
やまでもそれ以外が褶曲している
 
へちまの余韻のみぶらさがる
にわのうすあかりもながめました
 
 

スポンサーサイト



2022年12月30日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

福音

 
 
【福音】
 
 
福音のみでなりたつ詩を
つむように屋上にゆめみる
失明へむかっているのか
 
ゆきふる屋上でとおくたつ
あのひとのむねのあたり
ときいろのりぼんがとうとう
ほどけてゆくのを裸視する
 
もはらわたくし、とうずまく
あれらみながけどおい福音
 
たよりには訃音もふくみ
そでからのとりがひびくかに
よさがひろさへ伸されだす
 
 

2022年12月28日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

風紋

 
 
【風紋】
 
 
あなたがさったのち残された座面に
いくばくか砂の散っていたことは
ものものしい家財を震撼させた
 
わたしらはものがたらぬため
くうきへむかい気弱にかたるが
うたがいをよんだあの身ひとつは
顚末に似ておそろしくかんじた
 
そらとおく砂が天上記念日にあふれ
いなみにからだをおいたあなたは
スカートをめくり招いたはずだ

風のしわざだよ、もういないだけ
はなやかな見栄えすらも紋となった
 
 

2022年12月13日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

貫通

 
 
【貫通】
 
 
つぶやきながらながめる癖があり
ゆきぞらをみあげていたおりも
そらのころもとくちごもっていた
 
内外どちらともいいがたい層に
ほろびの錫がうすぐらくみち
かずのおおさでこころがくちた
ひとをおそれるならただみあげれば

おともなく箔はみずからを舞わす
かたに借財をつまれてひとは
ことなる多にもつらぬかれている

なぜしかし相殺もともなわれるのか
こわれつくしてすがたがわらう
 
 

2022年12月09日 日記 トラックバック(0) コメント(0)