在野
【在野】
杖をつき、のはらへひとりゆき
ひろった茎をストローにして吹く
杖からストローまでのすすみに
ささえがくうきへかわる機があり
えぽけなどわたしにうすい
はなばなをふいたじつげつは
わすれはてたらんるにすぎない
二音あればおんがく、やがて
二項で跛行もふるくまぜかえし
くうきよりかすかにかなでた
すべてけむりとなるためで
らせんだけがいたことをあかす
転落
【転落】
ひじかけが手すりにかわり
つぎつぎ椅子をすわりおりて
いいたがるものごしをひそめた
なにもかも紀のおわりだった
索引がおのれのかざりにおもえた
とおくをめがけた至近弾も
ゆかにありつづけている
うごかずのほかいまはもうない
ふりむくことがキダをつくる
あれらもれきしだってさ
紀のおわり、まなこにきざす
じょれつのようなぽえとり
重荷
【重荷】
みなで旅の荷をろかたにおろすと
あたりが家のようにかこわれて
たびのそらもとおくちいさく
その羇旅がせつなくなりました
旅装をとくのはいつもつかのまで
書をひもとくに似るけれど、そこで
とりどりはおのれを読んでいます
しずかにおもさをとくいがい
いきるのになにがあるというのだろう
すこしたずさえているくるしみを
よもやからだとかたらぬため
たびの重荷はそらにみあげます