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ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

湯女

 
 
【湯女】
 
 
うすぎぬの湯女が
髪をすいてくれ、わたしが
へってゆくのをてつだう
 
洗われてほそくなり
くろくなることもあるだろう
 
ぬれるみちたりは
わたしをはだのないひだにかえ
しずくすべてがおもたい
 
かんがえてころされるのが
架空の人物というもの
わたしこそが人物になり
ゆのなかにただよう
 
 

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2023年05月30日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

飴棒

 
 
【飴棒】
 
 
住むくにはみずのうえ
うすくておおむねひかる
みずおもてのひろがる
春のちからを足場にする
 
飴のにおいがおのれよりして
やるせないがむしろ
形容詞すべてもあまいのだ
 
水上何センチの幅だけを
ふたえの水としてながれる
 
あしさきがなぜかはじき
このよへふれていない
名のないことがゆめ
 
 

2023年05月15日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

鉄梃

 
 
【鉄梃】
 
 
Lの型をつづきがらとする
くきをすい、かみしめながら
とことわなどとくちにしてみる
 
ずがいこつのながい長頭人だ
序詩たらんとさらにのびて
 
くさやぶとみわけのない
いろみのままうごいてゆくが
てにをはにゆきつかぬもどかしさ
そまみちがかそけくうつる
 
バールのようなもの、はついに
バールでないままだろう
そんなきざしが序詩にもおおく
 
 

2023年05月13日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

後姿

 
 
【後姿】
 
 
たがいの背後をみとおすように
ひとときをかたりあったのは
詩のうしろ姿がみたかったためだ
 
遅速をたがえてさりゆくことで
へだたりへふたいろをつけるように
 
ながめわたる山河のいくつか
ないみつのさだめなどもつたえ
よわみをさらしながらほほえんだ
 
こころふかくで二頭が洗われ
沢音があたりにせせらいていた
しぎ、さわ、そこからの秋
しぐれのうしろすがたもみえた
 
 

2023年05月09日 日記 トラックバック(0) コメント(0)