浜梨
【浜梨】
てくびに鈴をつけると
ふれるけいいが旅程となる
なにが鳴るのか問わない
しろはまなしではなく
じゅんばんともかたられる
おぼれさせているのは
われとわが身のうすぎぬ
なきものとするため
すがたまでくびろうとする
しべあまた、身の数が
ゆびのまぢかでかたむく
列でない裂こそがきれいだ
塋域
【塋域】
それいがいにつき
ふしだらにささやきあった
あゆみをおぎなう
ておしぐるまもまた
杖より家だった
どうぶつがゆめみられる
虎のよつあしもくるま
それいがいこそこれにあると
速さの譜がおしえてくれる
ひとはくだものではなく
よろこびあうわたげだろう
ともにあゆみ塋域へ出る
杜若
【杜若】
かきつばたのおとをききに
あさのみずべにゆく
あさのこすれるのとちがう
端のまくれるおとだから
みんな服飾なのかもしれない
素数間のたてあなが
みるかぎりおそろしい
撮ろうとかまえると
どんな位置でも成立する
ならば成立していないのだ
おんなのやわらかいのも
ひとのかわりのくずれにすぎぬ