拈華
【拈華】
ひろがるちからが飽和して
やっと鞠をなしている
すこしひしゃげてもいて
たたえるしずくがひらたい
しろさがゆれるねむる
斬首は花がたよりしたと
あなべるがくちごもる
こまかなすきまに
おくがあるとすれば
わずかにみどりなすが
もう拈華が微笑をよばぬ
摩訶迦葉はどこなのか
安居
【安居】
日々の端居をつなげるうち
ほとりをうつりねむった
いつのまにかまざっていた
からだにあるふたつの縦
ひとつはこれまでをくびる
斑のあるものになろうとして
腑のあるさまにかわった
未聞をあらわす語が百腑だ
みずからに安居すると
うしろすがたも一夏
もはやすごすしかない
じつげつをただ破す