詩集
【詩集】
ゆうがたにえらぶ
ぬのにかくれたなまえを
もどって、そのひとをよむ
行を追えばかわるときがあり
みえかくれするかおも
いっときのあかし
なきましたか、どうですか
おのれではないもので
うしろがみちていて
みえるのはただ先頭のみ
これまたうらがなしい
舟のさだめみたいに
遅愛
【遅愛】
やがてそらからのもので
あつみだらけとなり
情さえうすくにごるのに
ながめるともなくいて
あらずともなくさらにいて
とおくまでたどろうとし
ちいささのこのなかで
みずからをかきいだくよう
あゆみをゆっくりさせる
あいしかたをまなんだのだ
速愛にたいする遅愛も
もはらからだのめぐりから
陸続
【陸続】
あるきに枯葉がまといつき
あしがなくなってゆく
なにをもってみずからを
ふたえにするかで
とおくのぞむまなこもある
ふる、とつぶやく
ひとしなみに地表へ
おうごんがもられるので
このよるもさかずきなのだろう
べつのなにかは去った
わたしならひとのつづきを
ゆるがすものにすぎない