さるさくさすさめるさしぐむ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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さるさくさすさめるさしぐむ

【さる】
起床後すぐ浅酔いになって
微風にゆれている
白をこぼす坂の浜茄子を
茎から剪りあつめては
ひとつごとにそれぞれが
すきとおる接吻をあたえ
島影をはにかんで行き交う
うすい俤も心にえがいた
我々はその蜻蛉島を去る
――以後 若さを知らない



【さく】
烏賊として乾いた
縦を裂きながら哂う
から地階だ。
不慮からやってくる
ものが。裂き線に
ぞろぞろ現れるから
群泳の昔を知るべく
裂き烏賊にもやはり
何。万の数が必要だ。
なあ●参集のみんな、



【さす】
雨音を当たり前とおもったから
ふたりの夜が崩れたんだね
泪がごちゃ混ぜになって
転がれば寝床も濡れた坂で
側溝でようやく気配が終った。
失意とか未望の「未」「失」に
調べをつけては秤のうえの
「あるなし」も崩れたんだ
なるほど庭は菊の懸崖だらけで
夜はそこに雨水だけを挿していた



【さめる】
ゆっくりゆっくり推移する
小姓との夕方がないものか
高枝に並んで坐って
あらゆる鳥の帰趨を見やり
彼らの体温が無に戻るのも眺め
それよりもこの世のさらなる眺望が
天の舗の閉店に帰着するのを
現れた六等星と引き換えにする。
暗さに降りてゆく視野だろう。
外[と]に翳すてのひら醒める百年後



【さしぐむ】
些細をさしぐむようになって
どんな偉大な詩の一生も
ささやかな終りへむかう
なんとなればマリ=エディット、
なんとなればモナ=ジャンヌ、
ナット、エミルー、イネスカヤ、
しいられることを待って
草苑に佇つそれらの仔細も
いつでも些細で終ったのだから
捻子を巻き直すだけしか予後がない

2007年11月30日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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