雲 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

雲のページです。

 
 
【雲】


つぎつぎあらわれてくる音のながさを、たなびく帯にさしかえて、空がいっぱいになる。あふれてくるむらさきが、そそぐ手の多さをさらに夢みさせる。遠望のうらがわにあるそんなもの。じぶんをかたむける樹に会うために、香滴をひめた小壜をもちあるき、音のしない花の下、ついに立ちどまる。
 
 

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2012年05月20日 現代詩 トラックバック(0) コメント(1)

 
数日、風邪で病臥するなかで、DVDを観たり、次々回授業のため、青木はるみの詩の転記打ちを細々とつづけていた。青木はるみの詩は要約しにくい。詩発想が実際は展覧的な多様性にみちているのに、そうとはおもわせない静謐な貫流があるからだ。感覚や性的欲望のなかに上品な倦怠もある。同時に、通念とはまったく異なる意外性で、世界の結像をさしかえる感覚の暴力も潜んでいる。咀嚼のむずかしさでは一等級の詩作者だろう。それゆえに彼女はぼくのなかで女性詩の中心に定位されている。
転記打ちではプリントに載せやすい短い詩を中心に選んだ。青木はるみは一詩篇が多中心になってしまうことも多く、ふしぎな長さを帯びている、とおもうことしばしばだ。この一瞬の了解不能に、たぶん彼女の身体がある。
プリントでは割愛したが、抜きたかった詩句には以下のようなものがあった。《椅子はこわすべきなんです 壜のようにね》(「椅子をシャベルで掬う」)。《ふしあわせな色の雲をみていると/世界にも/うらっかわがあったとわかる》(「凩」)。
上の詩篇は採用できなかった以上のフレーズを、自分なりに混ぜ合わせてつくった。
 

2012年05月20日 阿部嘉昭 URL 編集












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