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昨日 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

昨日のページです。

昨日

 
 
あなたを眼のまえにしていると、(ややこしいが)あなたの背後にも、ぼくの背後にもあなたがいて(見えて)、それがあなたの運の良さのあかしです、とぼくが話していた--これは、さっきまでみていた夢のなかの話。「あなた」とは知り合いで、彼女はすごくきれいに盛装していた。

昨日は武田肇さんの「ガニメデ」用に、追悼を兼ねた加藤郁乎論10枚をまず書く。前日・土曜が文献確認。『えくとぷらすま』以降、「一行詩」化していた郁乎の俳句が、『出イクヤ記』では『球体感覚』に回帰したというか、永田耕衣に近づいた。重要だし、すごくいい。『出イクヤ記』は『現代詩文庫・加藤郁乎詩集』後の刊行なので、同文庫には未収録だし、砂子屋書房の『現代俳人文庫・加藤郁乎句集』にも抄録で、いまはなかなか全貌を知り得ない。もっていてよかった、とおもった。

昨日夕方は必要あって、院生の研究室から借りてきた山中貞雄『人情紙風船』(DVD)を久しぶりに観ていた。海野又十郎役・河原崎長十郎は「気弱な眼差し」で「しかも眼瞬きをしない」。それが観る者を絶望に突き落とすのだ、と改めておもいだした。世界一不吉な演技ではないか。それとPCL(東宝)は、山中貞雄の段階で、玄関引き戸に向かう、襖に囲まれた矩形重畳の室内奥行き構図を確立している。成瀬巳喜男より早く。山中作品ではその縦構図がほんのわずか斜性を帯びる。だから後発の成瀬は正面性に挑んだのだろう。それと、長屋の庭側をつなげてゆく構図も、のち成瀬『驟雨』の終わりちかくで反復される。あの映画にも「紙風船」があった。
 
   

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2012年06月18日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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