統合拒否 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

統合拒否のページです。

統合拒否

 
 
ちょうど昨日から、ぼくが吉本隆明の最高傑作とかんがえる『母型論』の再読をはじめていて(その「最高傑作」にこのたび『言葉からの触手』がくわわったのは既報のとおり)、その第二章「連環論」に、ひとがなぜ自分の首を絞めて自殺することができないかが考察されていた。吉本とぼくの用語を併せてもちいると、脳神経と呼吸神経の内的連環がつくりだす統合性が、自死行為の作用域を自己領域と捉えて自己再帰性の不可能にのっとった中止をうながすためだ。それは感覚、思考、呼吸すべての連環が、行為の自己再帰性を「食」「性」に限定する生物条件と表裏、ともいえる(今期のマンガ授業で扱った萩尾望都『トーマの心臓』でも「エーリク」が自己絞殺に失敗し、以後、過呼吸発作を招いてしまっているディテールがあった)。それで昨日の角田美代子の獄中自殺。自分の寝床にいるまま、黒のTシャツをつかっての自己絞殺に成功したみたいだ。三人相部屋だから物音を立てずの決行だったろうし、また監視が10分に一度見まわる「リズム」をからだに叩き込んでの迅速性も実現された結果となる。吉本の立論にはじつは例外があって、「統合」が壊れた統合失調症者だけは自己絞殺に成功するのだという。角田の精神が異常をきたしていたかどうかはわからない。ただ三浦和義とともに自分に訪れている監視の「リズム」に精確に覚醒し、「少ないチャンスに」「過たず自死をやりとげる」「意志と身体のつよさ」には戦慄をおぼえる。その「戦慄」はすこし「尊敬」にも似ている。冤罪の可能性に注意しなければならないが、三浦、角田ともに「自己にたいする悪」が熾烈極まりなかった、という言い方ができるかもしれない
 
 

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2012年12月13日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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