時熟 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

時熟のページです。

時熟

 
 
【時熟】


とおいそこだけに風景の湯気がでていて
しかもそれがひとと無縁の気配だったりする

たましいが湯気となってみえるときには
おもいでの老人や錫杖が介在しているのだ

たまごの累なっているまなこが見あげる
ながれる黄身により雪空がひらかれて

ひとつの時熟に結節をかんじるとするなら
それらもくだものの姿をしているだろう

往年とはひとの身めぐりのすべてだから
おおくのすれちがいざまが蜜をこぼす




今日からは正月気分を遮断しないといけない。一日夜に女房が実家でつくったおせちをもって来札、翌二日はお屠蘇ですごしたのち、三日から五日朝までは支笏湖畔の丸駒温泉で早くもふたり今年の骨休め。その後はシネマフロントで封切映画を観たり、地デジで放映された香港映画の日本版リメイク『ダブルフェイス 潜入捜査編』『同 偽装警察編』(ともに羽住英一郎演出)を家で観ていたりした。西島秀俊と香川照之という黒沢清組俳優に、くらげなどの黒沢清的ディテールもくわわる力作ドラマだが、香港映画的な物語の結節が着実にあって、現在の日本のドラマより「侠」がふかい。だから二編を通すと、角野卓造、伊藤敦史、小日向文世、西島秀俊の「死にざま」が哀しい。「潜入」にまつわるサスペンスも見事なのだが、結局、その存在感から「役柄の悪」と束ねられてしまう香川照之は、死んでいった「天使たち」にたいし不自由なのかもしれない。つけくわえるなら、小日向は、『ダブルフェイス』のほうが『アウトレイジ』よりも図抜けて良い。正月早々、感銘した本なら竹村和子『彼女は何を視ているのか』(作品社)。とりわけ終わりのほうの、ローラ・マルヴィとトリン・T・ミンハとの討議・対談などに、さらに展開してゆくべき映像論の萌芽が数々あった。最後に。年賀状の返しで四方田犬彦さんがお元気とわかり、嬉しかった。
 
 

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2013年01月07日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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