つぼみ
【つぼみ】
詩の未来からここへ訪ねてくるひとは
すがたの見えがたいことがうつくしいだろう
わたしらの死後まで肩に雪をかさね生きてきて
それだけひとみがふかく老いているだろう
おぼえのなやみがかんがえのひかりになる
その壮麗さではいまとおなじくちびるをもち
おくれてあらわれるものがからだのみではないと
ことばやことがらの、のちのながれを語りだす
のぞみだけがわたしらのまずしさと添うのなら
となりしてともにいることすべても蕾となる
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神山睦美さんのことばにインスパイアされた。
《詩の未来からやって来る者がいるとしたら、どうすれば彼らと連帯することができるだろうか。
〔…〕未来からやってくる者もまた、私たちと同じように心貧しき者〔…〕であり、それぞれに〔…〕孤立した者であることに気がつく〔…〕。》