酒場を素描する
【酒場を素描する】
ふたつであることはそびえている
たちがれの樹のならぶ位置にそうおもう
ふいにとけだしていってわらい
おのれからわきでるものを真似てゆく
植物や事故のおんとろぎーだ、まるで
いま起きることがそのまま起こりになって
ひえている寓意に水をめぐらせる同意
ならばあらわれているかたちが二度ある
ひとつひとつをおぼえたい毛も睫毛しかない
そんなものでかこわれている古代のひとみ
やがてさかずきをめぐらす腕によって
たがいの距離にうつくしい窓ができてゆく
「理念はモナドである」「モナドに窓はない」
きみの単一を、分割不能をそれでも束にして
根雪の下をあらわしてくるわらたばだけ
いまからの不吉をのべる繋辞にすれば
わらたばでできている脳の、めのうのいろ
もつれあう一瞥はほんしつをそのようにみる
ゆううつを愛にまぜすぎるんだ、それでも
まぜものの酒に予想をはずれたうまさがある
カップのうすいへりにくちびるをよせて
からだにくるっている鋏を想像する
たがいに同期している嚥下のじかんをつうじ
「われとなれ」が呑み消されてゆくのだ