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四大によるわかれうた ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

四大によるわかれうたのページです。

四大によるわかれうた

 
 
【四大によるわかれうた】


ひるの時間をものうく映している
しずかな、水のような顔が眼前にあり

おそらく形象とはかたちそのものではなく
みずからにすこし遅れる淀みだとおもう

石のようになげられた風で紋ができても
いまが何かなどいっさい判読できない

ひふは情をつつむかにおもわれても
ひふそのものが情となってくぼむのだ

渦中をのむひとの、仕種のちいさな舟
やがてそれはきえる汀へと移動してゆく

このことがうごきのほのおとなるから
水火のあいだにはあらゆる誤認があって

木片がそらをゆくとみとめるのも
やがて鳶の春がくるといいなおせばいい

きみのひるはこれからどのピアノのまえで
ゆびさきのまに木片をかがやかすのか

鉋くずやおがくずをうまそうだと誤認した
ぼくは音をきけばすぐに木のひとになる

そのような直立でただゆれるものは
地上のろうそくになることをねがうのだが

水に多くかたむく水火のうるわしい顔は
もえることをあいまいなやけどにかえてゆく

水によってもえるもの、たとえばものがたり
ぬれ髪のひとがかわくまでのうすさを

ここからする、とおいながめとみつづけて
みつづけるなかに目の砦をつくってゆく
 
 

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2013年03月29日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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