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このもの ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

このもののページです。

このもの

 
 
【このもの】


両掌につつんだしずかなこのものを
あるいは珠とよぶべきなのかもしれないが

それはてのひらふかく隠されることで
みえぬ内部にうまれる鼓動をひからせる

うつろう時がしずくするましたで
この身の場所が照ってはかげるうち

このものの予感もりんごや梨になって
あることがへんげとつうじてゆく

だがそれはこのものを内に剰らせて
わたしの一環が欠けることにすぎない

およそそうした漆喰のはげおちに
わたしの家は内側をかすかにしてゆき

なにかかだれかを掌につつんでいる
じぶんのねむたい二重だけをかんじる

こんな、うすおもさがいわば発情して
わたしからころもがひるがえるのだ

つつむ両掌だけが場の核をなしながら
わたしは目先のカーテンとおなじになり

卓にむすぶ掌にとってからだがうしろと
じぶんの後退をさらに陣形にする

おわりからひとをおかせないから
うしろからおかす種になっていたのに

わたしは掌のなかの外に貶められ
うつりのなかで珠のいまもしらない

外側にあるすべてが球になろうとして
わたしは山脈のうまれるとおくのように

ただにひきつれなおも曲がりだそうとし
もはや掌中のくずれ柿をけすしかない

もったことのつめたい掟なのだろうか
はなからこれもひらいた門だったらしい
 
 

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2013年04月01日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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