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ひるまごえ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

ひるまごえのページです。

ひるまごえ

 
 
【ひるまごえ】


のりなどをこえてゆくうごきには
膜をつきやぶるようなふくらみがあり

ひとつの浸透となったじぶんにも
たずさえている多数があると気づく

この樹下からあの樹下へとわたしてゆく
そのことだけにもいわば峠をかんじ

ふみぬくのは中間ではなくニラの透明だ
水平の移動はわきいずるものにとける

もしもじぶんが伝達であるのなら
とどかない旨をつげるすきまのはがき

こえるうごきはその超えを束にして
杣道のすすみもただ、ひるまごえとなる

ひるぜんという地名のひびきをこのみ
野蒜をつみ、わかれる逢瀬をおもう

そういう山があのあたりにはあって
さびしいニラの花もゆびをさそうのだ

わけいって、かぎりを足がぬれてふむ
この身のうえをひとつの味噌とかんがえ

ひとの尖にあるニラのようなものすら
かすむまなこのなかへ草としてゆく

ひるまごえは昼をかがやく毛に負って
そのうしろではいつも声がながれる

しずかさに内心をよせるしかなかったが
声をけす諦めでからだがまた得られる

ニラ、野蒜、ゆれてにおうもののあふれ
まるでひとのようだ、たらのめも吹く
 
 

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2013年04月06日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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