列のあぶら
【列のあぶら】
くれよんでは黄の土色をこのむ、とりわけ
色があぶらをふくむ手ざわりをこのむ
えがくことはあぶらをふくんでいて
やわらかく苦しみながらてのひらを絵にする
もののうちにあるものを魔だとしんじれば
まどをこんにゃくの風がべろべろ叩いてゆく
日がくれていってかたちがわけられぬ頃に
くれよんのよれた線にはあやめがしずむ
よれているそれにもたしかにうごめきがあり
線がひそめている風の舌がお化けのようだ
遠目にはみえない絵を近くの眼でさわるが
それすら仄暗さでできなくなるのが終わりさ
つくえに紙を置いたままわいた風呂とまざり
えがくうちつかれにたまった木屑をながす
ゆらめくホトと向こうの絵がはなれて列なり
ひとりのなかにある列を絵にしたとおもう