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古代のしをん ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

古代のしをんのページです。

古代のしをん

 
 
【古代のしをん】


おんなというものはさほどかわっていない
ふるさのなかにさだめられている揺れだ

瘢痕からうまれて瘢痕をこだまさせるように
すまいのなかをわたってゆく足音のある生き物

すりあしにみえるほんのわずかのすきまに
ひかりをにじませていて、おんなははだしだ

まなこが川棚のかたちをおしんでいたり
春の池から階段をもちあげようとしている

きせつはずれに折れ枝をせおう日になれば
ならぶ坂越えが少年の群れとなり、こぼれる

こころにみがきあげるろうかんを朝にして
とおい透明にむけ、さゆをのんだりしている

くりかえしをみあげたりするとわらうらしい
そんなことをあかしするために桜桃もあるのだ

おもわれているほどには鏡のなかをみない
奥ふかい硝子のすべてを万緑とあきらめている

ほおにみずからでないあかるみがあって
ときのおわりまで視力をつづける凛のもの

たべさせる迎えにほころびのうごきをみたし
寝床や卓にみたことのないはちどりをならべる

うしろすがたにひとしずく甘露がこぼれる
珠のゆがみあるそのあたまが繭となりぼやける

くずれなど、やさしいことをかんがえている
熟れたあとの罅を字のようにとらえ返している

さいているひかりの音とかたる、むしろ
なゐはおんなにあるのでききちがえではない
 
 

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2013年04月17日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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