ほつれ
【ほつれ】
ゆきがきえるとふたたび枯葉が舞う
とおい円陣にまなざしをなげる
まるいものの量とそれに反する空白
よるに映っているのはそんなほつれだ
かおと手のちがうひとをかんがえる
にんげんの細部とはなんの仙界なのか
ふしぶしが傷むというときのふしぶしを
のこっているべらぼうに寄せてみる
よりそってなった接触が循環する
おもうまま、すくなさになってゆく
いなかったことをほめられたかぎりは
きのうよりすくなく死んでいる
紙のまえに布の世紀があっただろう
いまはりんねるの肌ざわりにとけている
着衣もすきまにより成っている
そこに温まっているちぶさのなつかしさ
たしかに立体は平面よりおくれている
まねることを棺にしてゆくならば
手もとにはみじかい白魚があるが
これはさわってみたひとの手でもある
相互とはどこからほつれているのだろう
みつめずにしずかに息をはいてゆく