諧
【諧】
つくえに手を置いてすわれば
そのすがたにもう諧がある
たぶん調和というものは
おくゆきに階段をふくんでいる
それはとてもはずかしいかまえだ
奥から手まえにおよぶなんて
それでもききいることがあやうく
耳のなかも余白になってゆく
きみはだれのまぶたなんだろう
ときどきは瞑目になっている
せかいの椅子が半減している
すわることがけずられて
ゆっくりと全身が椅子へかわり
そうだ性は引き算を真似する
尻と尻のすきまでできている
あらゆるきみの忘れつつある支え
海に似たものだろうか
みつめる部位を移されるのは
前髪があるね、まなざしのうえに
そのおもさできっとねむるんだろう
すわってうつむくきみの就眠矩形
まゆのほどけゆく絵のようだ
かたちにあつまっている諧が
半減するのも諧、それをみている