藤女子 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

藤女子のページです。

藤女子

 
 
【藤女子】


よりほそく細くあるひとが
藤のしたに立つのはよいことだ

梳かれるための糸のたばとなり
じぶんに最後の複数をゆるしている

かさねてみると狂ってしまう図像が
こことむこうの藤棚に透かされて

あれはだれのひかりの髪だろう
ぜのんの滝はむごく静止している

撮られるためえらばれたポーズは
まつげをぬく手と眼のちかさ

顔などにどれだけの穴があるのか
うちへ指をむけるとこわしたくなる

もうもくになる潰れをそう表して
さわることがいよいよ細くなる

しかもそれはさけんでいる羽虫だ
左右の指のちいささが開閉する

藤棚にも空間があるならそんな
なみなみとおそろしい求心だろう

顔がきえ着物がみえる短冊のたぐい
そこにも隙間ある屏風をとどめて

おとろえる金箔がひび割れてゆく
ひとの連立にある藤のようなとおさ

そのひととそこに垂れている藤だ
ほそいひとはみずからでふたりいる

波を矯められている樹をしたがえ
ほそいひとは曲がりによってふえる
 
 

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2013年05月11日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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