FC2ブログ

にこごり ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

にこごりのページです。

にこごり

 
 
【にこごり】


それじたいではなく、そのふるえをたべている
くずにおさめられたあめいろに透くたかさを

どこかに粉があるはずだのに口へおさめると
だしがにじみだし口腔がよくぼうになってゆく

天体のようなものがこごりに謀られている
ぎんなんがうかび繊いにんじんも春草をなす

ぜらちんに舌をまろばすことがあるきにも似て
せりのなびく川道に身をゆかす異装があわい

挽かれているなにかの魚肉その水のあじに
くちびるのすきまがうすあかりでわらうとき

にこごりのおとにたかいばしょのなみだをおもう
さだまらないかがやきを呑み眼のまえはきえる
 
 


講談社現代新書、渡邊十絲子さんの『今を生きるための現代詩』をいま読み了える。実体験と身体性、それと精緻でやわらかい詩篇の読みが縦横している、詩をとらえなおすための理想の書だ。それが瀟洒なすがたをとっているのに憧れる。それにしても、安東次男、井坂洋子などに別視角からひかりをあてるときのひそかな運動神経にうなった。中庸の徳を知るひとにみえて、捕獲者の運動神経をもつひとなのだった。あとがきに、詩篇は全篇を引用するものだ、という主張がみえ、じっさい本のなかでもそれが果敢に実行されている。ぼくとおなじかんがえ。これもうれしかった
 
 

スポンサーサイト



2013年05月24日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












管理者にだけ公開する