霊犬 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

霊犬のページです。

霊犬

 
 
【霊犬】


むかし飼っていた犬をおもいだすと
それはなごりの息をはいている

たたみの部屋などにぼんやりきらめいて
あごの上下をひらき歯をぬらしている

かたちに尾のようなもののあるおそろしさ
きんいろである身が救いになっていない

あしの下を覗きうずくまるまでのうごきを
くりかえすだけのまぼろしが焦げてゆく

そんなものうさから犬を手放すと
かならずことばには離散がうまれた

いかないでというさけびのなかで
ばらばらになっている犬が時の断面

舌をつまむと噛まれて激痛がはしった
かたほうのちぶさみたいな顔だったのに

ひとみはそのとき爛々とひかっていた
そのひとみの場にいまは穴があいている

ひたひたと前屈をはじめ(霊犬)
おのれを掘るもののけはいが(水)
 
 

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2013年06月18日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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