メモ40
左利きというのは、ひだりにむかい世界へ質問している風情があり、うつくしくかたむいている。さかさまにものごとをさわっている反転がからだへ織られていて、みえることはいつも鏡をふくんでいるともかんがえたものだ。筆記用具をもつわかいひとたちの光景ではいつもその反転をかぞえる。それでもたいせつなのはそれら鏡の徴をもつ者の、右の稀薄で、かれら彼女らのうすい右手こそ意想外をにぎろうとしているのではないか。たとえばその掌中に小石があったとして、それがあわくひかる。わたしもからだのよわい側から、そうしたものをもらおうとする。