横浜聡子監督との対談
【北大学生による拡散を希望】
●『ウルトラミラクルラブストーリー』の横浜聡子監督が北大に来訪!
10月31日(火)~11月4日(月)まで、「期間限定北大映画館」が開催されますが、そのクライマックスの11月3日(日)、注目の女性監督・横浜聡子監督特集がクラーク会館にてあり、そのなかで監督と阿部が壇上対談します。当日の具体的なスケジュールは以下。
13時45分~ 横浜監督作品特集上映(『ジャーマン+雨』『真夜中からとびうつれ』『おばあちゃん女の子』)
15時45分~16時30分 対談:横浜聡子監督×阿部嘉昭
(以上、@クラーク会館)
18時~ 懇親会(横浜監督、阿部出席)
じつは横浜監督とは大阪市主催の映画祭CO2でぼくが審査員、横浜監督の『ジャーマン+雨』が大賞を獲ったとき以来の知遇で、ぼくが最も才能を買っている若手女性監督のひとりです。拙著『日本映画オルタナティヴ』に『ジャーマン+雨』『ウルトラミラクルラブストーリー』評がそれぞれ載っているほか、『真夜中からとびうつれ』『おばあちゃん女の子』もぼくの東京時代の終わりの時期、フェイスブックに簡単な評を書いた記憶があります。
当日の上映作品について簡単な紹介を。
『ジャーマン+雨』は、不思議な作曲能力をもつ少女・野嵜好美と子供たちによるユートピアの不思議な帰趨をえがく。ぼくは「ハーメルン伝説」など、ひそかに織り込まれている「ドイツ表象」に注目しました。
『真夜中からとびうつれ』は多部未華子主演のマジカル短篇。無声映画的な空間のなかを不思議な青色のコートを着た、最高に可愛い妖精=多部さんが冒険します。空間が「映画未然-映画以後」を貫通する入れ子構造にもなっていたはず。
『おばあちゃん女の子』は『ジャーマン+雨』の主演、野嵜好美の相変わらずの怪演が披露されます。家庭的な日常の別次元を捉えた31分の作品で、子供帰りした老婆を童女として表象した高野文子の短篇マンガ『田辺のつる』にインスパイアされています。野嵜の「身ごもり」が確実にえがかれているのに、彼女はずっと「おばあちゃん」と呼ばれ、対象性がどこにも帰属しない過激な不安定さがありました。そのなかで「猫探し」のエピソードがどう扱われているか、ぜひ注目していただければ。
なお、横浜監督は、12月に新作中篇『りんごのうかの少女』の公開を控えていて、その話も壇上ではおこなうつもりです。横浜監督といえば青森出身で、初監督作『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』『ウルトラミラクルラブストーリー』と、「青森モノ」の作品系譜があるのですが、『りんごのうかの少女』もその一篇。りんご栽培農家の不良少女に焦点をあわせ「地方の停滞」をえがくというのは表向きで、じつは「行進」「馬」「炎上」のとりあわせが幻惑的な、脱領域的な味わいに当然仕上がっています。ゲスト出演の永瀬正敏の死がどう描かれるか、そしてその葬列の最初の瞬間に何が映されるかだけでも横浜監督の稀有な感性が脈打っています。
イベントで横浜作品を堪能したあとで、ぜひこの映画もご覧ください