かたちについて
事物がそれ自身との関係をともなって二重にみえるときがある。それの在ることをただ内在性がほぐし、ゆえにその事物の外と、事物の外観そのものとが、「展け」によって釣り合ってもいる。場所と事物、あるいは地と図の関係をかんがえればわかるが、そういうものはたとえ一度目であっても内外が同時に算えられ、いつも二度目だし、奥行の阻みかたがうすいし(幽霊的)、それ以外に誘うそのありかたのみで、こちらの視ることを赦してさえいる。いいかえよう。直截性への使嗾がたえず悪だとすれば、「それ自身だけをのこして」周囲へと消滅する事物は、これより先も善きもののなごりかもしれない。ヌードや詩は向かわれる、そのなかにある余白をつかみだされるまで。このことのためにのみ、それ自身のかたちが要る。