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HK ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

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あるときからべつのときへ、ひとをつなげているのがうごきではなく記憶だとすると、まるで記憶が束になるようにひとがひとじしんを移っている。その記憶を知的な善し悪しが裏打ちし、だから時間にも出来のちがいがある。「語ること」と「語られたこと」が徹底的にちがうというのも、原動性をもつ記憶がからだの発話的刻々なのにたいし、定着された記憶がからだの死体だからだろう。ほんとうになまなましいのは、おさめることのできない現下の記憶で、それが切断と区別がつかないのが、おぼえのさだめなのだ。うつくしいものは不可能で、それゆえにうつくしい。この矛盾律的な同語反復がすべてだ。これは空間的には電圧差と同時に生起している電流で、それでひとのことばが部位にわけられることにも熟慮が要る。眼とくちのちがう男が、ちいさく叫んだ声をかくしておぼえている。
 
 

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2013年12月07日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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