下着
微差がもっとも能産的な差異だというなら、もっとも質量のちいさい悪こそ、最大に心おどる悪なのだろう。たしかに巨悪とちがうそれは愛着とみわけがつかないし、高の括れる逸脱なのにそれでも効果や先行が予想できないし、その悪を踏み越えたときにも取り返しのつかなさがみえないところに痣のようにのこる。ふわふわのしろい下着につつまれているのか、あるいはその下着自体なのか。ともあれそんな下着がわかいおんなの姿態をかがやかせていることがある。もっとも質量のちいさい悪とは、香水などからはずっと遅れて近代の発明したもので、それはまとっているうちに身体そのものともなる、すがたに似た何かなのだ。