矛盾
【矛盾】
相互がうごかないとき、関係性は対峙をしるすのみではなく、なにもない空間を均衡の道具にしながら、むしろ拡大となってゆく。こちらの顔とあちらの顔、その双方を白い天秤皿にするのはこの意味からも簡単で、そこにはとおくのものをおおきくする作用がはたらいている。わたしたちは二脚の椅子にすぎず、そのありさまは速度そのものを加速状態から分離できなくなる、もはやすがたではない矛盾ととらえるべきではないか。はじめに出会ったときのことをおもいだそう、あなたとわたしはそうしていた。おそろしいのはその関係性が非関係性ともよびかえられることで、けっきょく瞑目してみると、からだの演じていたのも空間とのやるせない非関係性なのだった。