運針
【運針】
逐語的にとらえるには穴だらけの野があり、そこにたたえられているちいさなひろがりも、穴どうしの喘鳴とかんじなければもはやひろがりとすらならない。わなないている数々のくちがいつのまにかシューズを噛みくだくのだから、こちらはさかさにされ、なげくべきことが空気のように多いとじぶんを携えるのみだ。ふだんなら墜落するところ、そうもならないのは、A is BがA is not Bと、ささいなnotしかちがわず、あらわれているAとBとの網がたしかに降下をつかまえるためだろう。まるで低地の水で、うたがえという命法も、命法である以上うたがえない。これらはなにか。あたえられた前方が本質的に疲れていて、そこにきらめいている穴だけにむこうがあるというしめしだろう。それであるときは野を伏せて、すくなくみえる出発を背にした。