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燐 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

燐のページです。

 
 
【燐】


引用したら助詞が化けていた――そう気づいて悄然とすることがある。詩の行などじつは書かれてはおらず、むしろそれはかずかずの樹間で、手許に筆記するときにはさながら燐を写していた、だからそうなったのだ。ひらがなが女影で、化けてたたったといういいかたもできる。それいがいになろうとするものが、こころひかれるおんなのふぜいだから、構文もくりかえし変成し、あおじろくみだらに炎えた。おもえば詩がながいことわたしをだめにしていた。ものがかんがえられなくなって、写す手と眼のれんかんが、注意が、ひらがなよりもやわらかにくずれていった。なるほどひらがなはすべてのあいだをつくりだすが、そのあいだこそを燐とおそれたのだった。
 
 

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2014年01月13日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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