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今クールのTVドラマ ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

今クールのTVドラマのページです。

今クールのTVドラマ

 
14日朝、『換喩詩学』のゲラチェックが終わって投函。その後バクスイして、起きてからは録画溜めしていた今クールのTVドラマをチェックしていた。

継続録画を決めたもののみ、簡単にメモ。

「隠蔽捜査」=TBS月曜20時で、杉本哲太&古田新太の「あまちゃん」コンビ。同枠前ドラマの「刑事のまなざし」のようなスタチックなつくりではないが、事件の謎解きではなく、事件の「もみ消し」にかかわる警察庁キャリアの葛藤をえがく内幕物で、今後の経緯がうねりそうな気がする。大好きな鈴木砂羽が哲太の妻役で出ているものの、この枠はいつも女優費の予算がすくないなあ。原作=今野敏。

「福家警部補の挨拶」=火曜フジ21時。おまえはコロンボか、と劇中人物から突っ込みがはいるほど「刑事コロンボ」を意識した倒叙法の刑事ものなのだが、主役はもっさりとして、空気の読めない檀れい。基本的には演技の下手なひとなのだが、今回は役柄がはまって、しっくりくる。黄色いコートも似合う。大倉崇裕原作で推理進展の過程は、「コロンボ」や「古畑」よりさらに緻密。第一回は、普段はやる気のない反町隆史が犯人役で意欲をみせていたが、稲垣吾郎の役得がまだわからない。パシリ役の柄本時生が可愛い。

「紙の月」=NHK火曜22時。日々不充足なアラフォー妻が、パート勤めをしていた銀行から一億円横領した経緯を倒叙法で語る。「女」にまつわる社会論的なアプローチを「物語」にするには原作の角田光代が当代随一。ヒロインの原田知世が汚れ役なのに清楚で素晴らしい。第二回、睫毛をふるわせて瞳を潤ませる「女優演技」も完璧だった。なぜかミッキー・カーチスのすがたが身につまされる。演出=黛りんたろう。

「僕のいた時間」=フジ水曜22時。橋部敦子の脚本で、全身の筋力が消滅してゆく三浦春馬の死までをえがくらしい。冒頭、雑踏のなか車椅子の三浦に雨が降るスローモーションから、すでに橋部脚本の映像設定力と抒情性が全開。往年の橋部作『僕の生きる道』などに較べると、寓話性から社会転写力にさらに基軸が移り、第一話では現今の大学生の就職難の様相が着実に描写されていた。相手役は多部未華子。このひと、20代ミドルになって、ますます少女=大学生演技が可愛くなってきている。就職面接でのケータイのコール音を春馬くんにかばってもらってから、彼を王子様のようにおもう設定は、ものすごく説得力があるのでは。

「Dr.DMAT」=TBS木曜21時。関ジャニ∞の大倉忠義が災害現場派遣チームの医師役で、彼には救命救急で実の妹を意識不明にしたトラウマがある。その彼が内科医に甘んじていた果てに今度はもっと熾烈な災害現場に派遣され…という設定は、「ブラックジャックによろしく」の妻夫木聡を襲ったよりも残酷かも。「非決断」キャラの「うじうじ」は「エヴァ」の碇シンジ以来の定番。やがて本作の主題が、観察力と愛にみちた「決断主義」にあるともわかってくる。第一回は荒々しくはじまったが、途中から作劇がにわかに緊密になり、息を呑ませた。看護師の麻生祐未が謎めいた黒幕で、彼女を大好きなだけにこれは嬉しい配役。國村隼がヘンな演技をしている。石黒賢がいい味。

「緊急取調室」=テレ朝木曜21時。大勝した米倉涼子主演&中園ミホ脚本「ドクターX」のあとは、これまたフェミニンハードボイルドの勝ちパターンとして、天海祐希主演&井上由美子脚本で臨んだ。可視化された取調室で専門の取り調べをおこなう「キントリ」に、立てこもり犯人を説得などする「交渉人」だった天海が左遷されてくる(じつは左遷ではない)。米倉十八番の「交渉人」をジャンプボートにして「取り調べのプロ」へと跳ぶ天海の武器が、米倉の決して見せない「泪」で、これにはドキッとした。長回しで肚から「情」演技を持続して泣かせる女優は、現在、真木よう子、尾野真千子、菅野美穂、小池栄子など花盛りだが、第一回、変態ルサンチマン犯人役の高島政伸をまえに、ついに母性にみちた「非難」をみせる天海さんの「肚」の力も泣けに泣けた。このドラマの主題は非難のない時代に「親身になってこそする非難」なのではないか。田中哲司、大杉漣、小日向文世、でんでんのキントリチーム、あるいは鈴木浩介、速水もこみちのバカ刑事コンビなど、この枠はいつでも俳優たちの演技アンサンブルが圧巻だ。

今週もまだあたらしいTVドラマのオンエアがあり、以後も報告するかもしれない。
 

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2014年01月15日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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