near by
【near by】
そばnear byにだれかがいるのではなく、そのnear byじたいが人格をともなってみえる、ふしぎな刻がある。そのひとのあらゆる隣域がくうきだとして、それらがからだをつつみこむさいに縮率や露光がきめられ、そのさいわいが、こちらが内心のカメラをむけるまえに、いわばシャッターを切りつづけ、寸刻のかさなりがひとの簡潔な個別をまとめあげているのだ。ながさいがいはながれしかない髪の亡霊性、窓際にいる位置、ゆびのほそさが関連しているかもしれない。すくなくともふたりいる、そう讃美するこちらは、むろんそのふたりの員数外で、そこからみずからがみずからをかなでるしかない音楽、そうしたものの自充性などをおもうようになる。みえるものと音楽とはいったいどこがちがうのか。そのひとがふたりあることはかるい、あかるい。