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春 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

春のページです。

 
 
【春】


埒をつくるのではなく、棒をつくるように、一篇の詩を完成にむけ運ぶことがある。主語をのっぺらぼうにするのみか一人称省略でなおさら隠し、たくさんの動詞を一方向へゆかせ、入口から出口までのひかりの通路とするのだ。おどりまいあるきかがむ。きえた主体のむこうに草があり、朝などはなごりとなったからだのありどころを土手にすらながす。ひとが死ぬこと、それをおもいだすのはなんの洗浄なのか。ひとをのせるはこべに遅速の区別がない。ふかれるものはひかりにぬれて鎖でつながり、そのながい列を水にあるとみなし、やわらかくゆらす眼も発生する。かかげられる棒をかわりにもてと、詩を献る春がそうしておとずれる。
 
 

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2014年02月26日 日記 トラックバック(0) コメント(0)












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