交代
【交代】
昼カノが帰ってから、となりしていたときの空気がさらに湛えられた。ゆうかげのかぎりなくあふれるここが、身をのばすための廊になった。おもいだすことが長くなると、おもいでのかたちまで長くなり、そこに容れる自分をただほそくした。羊水ph値7で水稲もそだつ、あれが早乙女。愛着されるものはいつも時間を容れるうつわのすがただろう。田がみえた。それでも水にした自分をそのたまりに置くと、うつわの数だけ塩がとけてゆくようだった。わたしは鹹いか。かたわらの空席が穂をゆらすころ、べつのすわりかたを差し入れようと、ゆうづつまたたく夜カノがやってきた。