たわみ
【たわみ】
形態上は、たわみのつくりあげるものが希望だ。たとえばやわらかい数千のながい髪が、みずからまとまらず、形態の炎上というように風へほしいままにされる異変を、まぢかにながめそれをおんなとしたことがある。このときの微細は、弓のつるがたがいにたわみつづけてははじくおどろきだったが、ひとつひとつがひかりの矢をそこから射かけ、さだめをこえていた。ある時片の収縮がつぎの時片には跳ねて眼を撃つ。それでもくずれた生にとらえられるたわみは、枯れ尾花に似て拠るところのみをさみしくうつむくものだ。それは涯からの牽引を、みずから終わるまでたたえた、ゆっくりとした縮約や結露にすぎない。このむ性愛映像はあまたあるが、みられるかたちのたわみは、弓弦へも尾花へもつうじていてひとつにはつかめず、ぼんやりとにじむつかのみが眼を痴愚にするとなげいた。