冬眠
【冬眠】
かけぶとんと敷布団があるのだから、さむさをふせぐふゆのねむりでは、すきまに身を挿しいれるさまがとりわけふかくなる。まばたきのたびにあらわれてくるなみだや、自己性交のようだ。ふくよかなまぶたにくべつなくまざるからだは、いっぽうで神託をさまよう挿入句でありながら、他方その夢では植物の死にはさまれてすべてのにおう、底をもった地の枯野熱にすぎない。上下の中間であるねむりは、中間にあることでなにかの剽窃へうかびながら、ねあせのかわりにおびただしい星をながす。ねむりによりくるってゆく信憑と自同があり、ひと夜くるしむ。