そらまめ
【そらまめ】
そらまめのつややかなヒスイいろのしたたりはかたちのしたたりでもあって、おのれの胚乳にまどろむ中途がそのちいさな胚芽へあらわれている。これが花びらのくろいまだらと時をはさみひびいているのだから、たたまれたすえやがてもつれてくる嫩葉なども、せいろんのおさないメオと似て、てのひらの夢にかるくあるだろう。そらまめをふたつ添わす対想が、うつむきをただやさしくする。さやからとりだしているのがひかりと音とのしめったにがみなのか、みっつめ以降を近眼のひとはその場のあまりとさだめ、あしもとの春へやわらかにながしてゆく。