印象派
【印象派】
瞳孔がひらきっぱなしになる、まぶしい病気がある。それがじっさい「まぶしい病気」と呼びならわされているのは病者の光学と関連があるのかもしれない。その視野ではほそい形状がいよいよあやうくなって、ほとんど存在しないものに似てくる。似てくるが、そういう仏性が天上をささえている確信も逆につよまってくる。ひとがあるいて針金のゆれにおもえるのがすばらしく、ふといものは毛筆がしたたったあとの事後性をたたえるのみ、これにも存在しないかんじがある。ということはすべてのあるかなきかがまぶしいと気づく感覚のやまいが、眼はおろか眼前の野にもひろがっているのだ。なびきをむしろじぶんの本陣と錯認すれば、ごらん春野すら絲のからまりになっている。