ソング・フォー・ジ・アスキング
観るべき映像を観たあと、今日の暖かい夕方、ずっと音楽を聴いていた。それでふとサイモン&ガーファンクルの「ソング・フォー・ジ・アスキング」が聴きたくなった。創意的なアコギ伴奏の代表のような静謐曲で、あらためて原曲の歌詞に着目すると、これはガーファンクルにむけられたサイモンの訣別の歌ではないかとおもった。ガーファンクルの声が不在だからこそ、S&G解散にさきがけた、サイモンの最初のソロ音楽のようにも聴える(サイモンの楽曲としてもその後の「スティル・クレイジー・アフター・オール・ジーズ・イアーズ」と双璧ではないか)。方向性がビートルズの最終段階、ポールからジョンに未練のむけられた「ロング・アンド・ワインディング・ロード」とまったく逆だともとらえた。シニカルさこそが愛の本義だとあかしているのだ。簡単な語彙しかないがふくみの多いその歌詞を、ぼくにはこう聴えたという範囲もふくめ以下に訳してみよう。
【ソング・フォー・ジ・アスキング】
きみのリクエストに応じた歌がこれさ。
乞われればぼくは弾く
(きみのおもうよう)甘やかに。きみも微笑んでくれるだろ?
これが受け入れてくれるための曲。
ただからだに染ませて、反撥しないでほしい
こんな瞬間をずっと待ってきたんだ
ずっと思ってきた、ぼくはきみに届かなかったと。
さらにずっと思ってもきたんだ、リクエストに応じ
弾きかたを変えるよりぼくのよろこびなどないんだと。
だからただ求めてくれ、そうすればぼくは(きみのこのむように)弾く、
ぼくが内心に抱えるおもいすべてを(可変的に)。