シフター
【シフター】
なれ・いまし・なんぢと二人称をよびかえれば、わたしの座がうすまり、ともにいることがしずかにめぐる。ひとつの場所がべつの場所にとなりあうくりかえしでとおさへいたる遍在ができて、あふれかえる可能のそこでこそ位置の萌芽がひかるのだ。それがシフター=転換子。きみはみずからをみおろし、たとえばちぶさとへそのあいだにあるたがいの指示をほどく。春の水いろの黄金のように。むろんひとりあることはめぐりにむけ排中律をなすが、すでにからだに世界が映り入って、きみには部位の配置がきみじしんの範囲で、てきせつにながれているのみだ。なにも畏れる要がないかあるいは時を畏れつくすかのどちらかだろう。いいかえればシフターを攪乱できるゆいいつが時間中の心霊で、かたちのないこれが二人称や遠望のなかにも視えてしまう驚愕日がある。