木喰
【木喰】
ひとにあうときには
そのひとの家にむかうため
本をたずさえてゆく
あさぎいろした駅をおり
かならず竹林をよこぎるのなら
あのざわつきにおののくため
のびる竹のような本を
すでに車中のひざへのせたのだ
いまはぽぷら並木をバスでぬけ
あうべきさきのひかりにあう
そのひとが あるいはぽぷらが
雌雄同株なのかはとわず
もともとバス内のひざのうえが
きめられない雌雄となるよう
あめいろの本がえらばれた
もしかしたら性でないものは
バスもてはこばれるうつし身の
あさい木材性かもしれない
本をよみながらひとり木を喰う
あいて じぶん 旅程 もくじき
いずれかが本にさきどりされ
あきつ乞食をやわらかく筋ばらす
こがねのひび筋肉に似たものが
あたまの髄をひくくわらっている
それにつれ字も皺になって
あいするにあいてあるをあく