浮子
【浮子】
みのもとみなそこのあいだの
あかるい幅をかすめてゆくのは
幼形や妖形とよばれる影で
それを稚魚とかぎるべきではない
と釣師はかんがえてみたのだ
ふかい沼からかたい大玉をぬくより
あさい川ゆくあきらめをながめ
地球を釣ったなどといわないよう
さらに糸をながしてはもどす
そのながしにいまさら妖形があり
これをしもわが草や葉じゃないかと
おんな好きがかんがえてみたのだ
白昼にねむるのは至福で、雌伏だが
みちたりてねむれば身のかがみも
みずからのうちに紡錘されて
くれがたへむかいあかるくなる